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『イシューからはじめよ[改訂版]』は、仕事や問題解決の成果が出ない原因を「能力」や「努力量」ではなく、解くべき問い(イシュー)の選び方にあると喝破する一冊です。
頑張るほど遠回りになる「犬の道」から抜け出し、仮説→分解→ストーリーという流れで、最短距離で結論にたどり着くための思考法を学べます。
忙しいのに成果が出ない、考える仕事で迷いが多い。そんな違和感を抱えている人にとって、仕事の進め方そのものを見直すきっかけになる実践的な思考の指南書です。
目次
この本を一言でいうと・・・
仕事の成果は「頑張り方」ではなく「何を解くか(イシュー)」で決まる。
本書は、重要で未決着な問いを見極め、仮説とストーリーを立てて最短距離で結論に近づく思考法を示している。
無駄な分析や作業を減らし、少ない力で最大の成果を出すための土台を作ってくれる一冊である。
本書は、仕事や問題解決の成果が出ない原因を、能力や努力量の不足ではなく、「何を解くか」という問いの選び方にあると明確に示す一冊です。
重要で、なおかつ未決着なイシューに集中することで、調べすぎや考えすぎによる無駄な作業や遠回りを減らし、限られた時間とエネルギーを成果につながる判断や行動に使えるようになる思考の軸を与えてくれます。
イシューとは?課題との違いをシンプルに整理
イシューとは、単なる「課題」や「やること」ではありません。本書で定義されるイシューとは、重要で、なおかつ未決着な争点のことです。
ポイントは次の2つです。
- いま答えを出すべき問いか
- 答えを出すことで、意思決定や行動が変わるか
この条件を満たしていない問いに時間を使うと、どれだけ努力しても成果につながりにくくなります。
イシューの具体例
×「売上を上げたい」
→ 抽象的すぎて、何から手をつければいいかわからない
○「リピート率が下がった原因は、価格か体験か?」
→ 検証可能で、結論が次の行動につながる
犬の道とは?頑張るほど遠回りになる状態
「犬の道」とは、問いがズレたまま、とにかく作業量で押し切ってしまう働き方を指します。一見、真面目に頑張っているように見えるため、本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。
犬の道にハマっているサイン
- 調べるほど、結論が遠のく
- 資料は増えるが、判断が進まない
- 「結局、何が言いたいの?」と聞かれることが多い
この状態から抜け出すために必要なのが、「解き方」ではなく「問いの見直し」です。
本書の特徴
成果は「解き方」ではなく「何を解くか」で決まる
多くのビジネス書が分析手法やフレームワークを紹介する中で、本書はその前段階に立ち返ります。
「その問いは、本当に解く価値があるのか?」
ここを徹底的に問い直すのが、本書の最大の特徴です。
仮説とストーリーを先に作る
データを集めてから考えるのではなく、仮説 → 分解 → ストーリーという順番で、結論までの道筋を先に設計します。
これにより、調べすぎ・考えすぎによる迷走を防ぎやすくなります。
「So what?」で結論の解像度を高める
「それで、何が言えるのか?」この問いを何度も当てることで、分析結果を“示唆”の形まで磨き上げていきます。
報告書や企画書が、説明で終わってしまう人にとって特に効果を感じやすいポイントです。
今日から使える:イシュー設定の考え方
イシューを一文で表す型
今この状況で、(A)を決めるために、(B)が(C)なのかを明らかにしたい。
例)
今期の集客を改善するために、CVR低下の原因が「訴求」なのか「導線」なのかを明らかにしたい。
この一文が書けるだけで、考えるべき範囲が一気に絞られます。
会議や企画で使える問い
- この結論が正しいと、次に何を変える?
- 意思決定者が本当に知りたいのはどれ?
- 今日やらないと困る理由は何?
改訂版と旧版の違い
改訂版では、内容の見直しと加筆が行われています。
- 新しい章や視点の追加
- 事例の差し替え、文章全体の推敲
- ページ数の増加
旧版を読んだことがある人でも、現在の仕事に当てはめて読み直したい場合は、改訂版を選ぶ価値があります。
こんな人におすすめ
忙しいのに、成果が出ている実感が持てない人
努力量ではなく、成果に直結しない仕事を減らす視点が身につきます。
調査や分析で手が止まりがちな人
仮説と道筋を先に作るため、迷走しにくくなります。
企画やアイデアの質を高めたい人
「So what?」を通じて、示唆まで磨き込む思考が身につきます。
ひとりで仕事や事業を進めている人
優先順位を決める軸ができ、判断の迷いが減ります。
どう読むと役に立つか(読み方のコツ)
- 最初から全部理解しようとしない
- まずは第1章(イシュー・ドリブン)を読む
- 自分の仕事を1つ決めて当てはめながら読む
- アウトプットやメッセージの章は、必要になったときに戻る
読む前に知っておきたい注意点
- 即効性のある作業マニュアルではない
- 読んだだけでは変わらない(実務への当てはめが前提)
- 抽象度が高めなので、再読前提で使うと効果が出やすい
まとめ
『イシューからはじめよ[改訂版]』は、ただ努力量を増やしたり、忙しさで自分を追い込んだりするための本ではありません。
むしろ、無意識のうちに続けてしまっている遠回りな仕事の進め方から一度立ち止まり、本当に成果につながる問いは何かに集中するための視点を与えてくれる一冊です。
やることが多く、日々のタスクに追われているときほど、問いの質は下がりやすくなります。
本書は、そんな状態に気づかせ、仮説を立て、考える順序を整え直すことで、限られた時間とエネルギーを意味のある仕事に使えるよう導いてくれます。
仕事に迷ったとき、方向性を見失ったときに読み返すことで、その都度違う示唆を与えてくれる点も大きな特徴です。
「このままの頑張り方でいいのか」と少しでも感じたことがあるなら、本書はその違和感に静かに寄り添い、次の一歩を考える手がかりを与えてくれるはずです。
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